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内容紹介
「マス・フォア・インダストリ:産業数学」とは,純粋数学・応用数学を流動性・汎用性をもつ形に融合再編しつつ産業界からの要請に応えようとする,未来技術創出基盤となる新たな研究領域である.
本シリーズは,この新領域を代表する分野を精選して,各分野の最前線で活躍している九大IMIの研究者を中心に基礎から応用までをわかりやすく説き起こしてもらい,使える形で技術開発現場に届けるのが狙いである.
本書は,IBC(情報に基づく複雑性)と呼ばれる分野の概要と最近の成果を紹介する.その例として金融計算を取り上げている.この分野の理解を助けるために,第1部でランダマイゼーション,第2部でデランダマイゼーションを解説する.高次元積分問題に関心のある読者に必読の書である.
書誌情報
- 著者: 手塚 集
- 発行日: 2023-01-25 (紙書籍版発行日: 2018-01-31)
- 最終更新日: 2023-01-25
- バージョン: 1.0.0
- ページ数: 214ページ(PDF版換算)
- 対応フォーマット: PDF, EPUB
- 出版社: 近代科学社
対象読者
産業数学,応用数学,IBC,金融計算,ランダマイゼーション,デランダマイゼーション,高次元積分問題,統計に興味がある人
著者について
手塚 集

目次
第I部ランダマイゼーション
1 二つの具体例
- 1.1 カードをシャッフルするとランダムになるか?
- 1.2 曲線の長さを任意の精度で測るには
2 一様乱数の生成
- 2.1 擬似乱数とは
- 2.2 線形合同法
- 2.2.1 ラティス構造とスペクトル検定
- 2.2.2 周期の大きな線形合同法
- 2.3 GFSR法
- 2.3.1 線形合同法の多項式版
- 2.3.2 GFSR 乱数のラティス構造
- 2.3.3 Mersenne Twister とその改良
第II部デランダマイゼーション
3 ディスクレパンシー理論の背景
- 3.1 組合せディスクレパンシーとは
- 3.1.1 デランダマイゼーションの例
- 3.1.2 van der Waerden の定理
- 3.2 一様分布論と幾何ディスクレパンシー
- 3.2.1 van der Corput 列
- 3.2.2 van der Corput の予想
4 幾何ディスクレパンシー
- 4.1 Great Open Conjecture
- 4.2 超一様分布列の構成法
- 4.2.1 Halton 列
- 4.2.2 Sobol’列
- 4.2.3 Faure 列
- 4.2.4 一般化Niederreiter 列
- 4.2.5 Halton 列の多項式版
- 4.3 多重基底(t, e, s) 列とそのディスクレパンシー
- 4.3.1 多重基底(t, e, s) 列とは
- 4.3.2 ディスクレパンシーの上界
- 4.4 いくつかの興味深い話題
- 4.4.1 多項式Halton–Atanassov 列
- 4.4.2 多項式Halton–Fibonacci 列
- 4.4.3 多項式Kronecker 列
- 4.4.4 下界に関する話題
第III部IBCと高次元積分
5 金融計算と高次元積分
- 5.1 デリバティブの価格計算
- 5.2 「次元の呪い」とモンテカルロ法
- 5.3 Information-based complexity (IBC)
- 5.3.1 一次元積分問題の例
- 5.3.2 IBC の一般的定式化
- 5.3.3 高次元積分問題の計算複雑性
- 5.3.4 Koksma–Hlawka の定理の一般化
6 理論構築の試み
- 6.1 Sobol’ の理論
- 6.2 実効次元(effective dimension)
- 6.3 Tractability 理論
- 6.3.1 重みつきディスクレパンシー
- 6.3.2 積形式の重み
- 6.3.3 有限オーダーの重み
- 6.3.4 重みをつけなくてもtractable になる例
7 ひとつの未解決問題
- 7.1 Black–Scholes モデル
- 7.2 シミュレーション結果