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内容紹介
Re:VIEWは、青木峰郎氏が2002年に設計・開発したマークアップ記述言語およびドキュメント変換システムです。その後筆者がこれを引き継ぎ、高橋征義氏、角征典氏の加わったチーム体制で、GitHub上で開発と保守を続けています。その優れた設計思想と、簡易かつ拡張性のある言語体系、そしてEPUBや(LaTeXによる)PDFを1つのRe:VIEW原稿から作成できる機能が、昨今の電子書籍ブームとあいまって、エンジニアを中心に多くの利用者を獲得するに至りました。
しかし、実はRe:VIEWがもともと紙での出版をターゲットにしていたこと、そして今でもそれを重視していることは、あまり知られていないことでしょう。
Re:VIEWの原稿から、InDesign上で扱いやすく、またいろいろな書籍に対応できる汎用性のあるXML――IDGXML――に変換できること。従来のように手動で紙面化する過程で原稿とDTPデータを乖離させてしまうのではなく、(LaTeXほどとはいわずとも)文章の修正はRe:VIEWの原稿で行い、再び容易に紙面化し直せるよう、JavaScriptのプログラムを用意すること。
筆者の挑戦は実を結び、InDesignのレイアウトの柔軟性や操作の簡易さを極力損うことなく、Re:VIEWの原稿と紙面を乖離せずに繰り返し修正が可能なシステムができあがりました。現在に至るまで100冊以上にのぼる商業刊行の書籍がこのRe:VIEWベースのシステムで作られています。
InDesignは有償のソフトウェアであり、誰でも気軽に使えるというものではありません。しかし、読者が今Re:VIEWを使っていて、自由度の高い紙面レイアウトを求めているのであれば、本書がその助けになるはずです。
(本書「はじめに」より抜粋)
書誌情報
- 著者: 武藤 健志
- 発行日: 2016-06-27 (紙書籍版発行日: 2016-06-25)
- 最終更新日: 2016-09-15
- バージョン: 1.1.0
- ページ数: 180ページ(PDF版換算)
- 対応フォーマット: PDF, EPUB
- 出版社: 達人出版会
対象読者
高品質な技術書を作りたい人、Re:VIEW、InDesignと自動組版に興味のある人
著者について
武藤 健志
千葉大学文学部卒。ソフトウェア開発職を経て、現在は編集制作プロダクション「株式会社トップスタジオ」に在籍し、多数の商業書籍の制作にかかわる。プライベートではフリーソフトウェアの開発者として活動。Debian GNU/Linuxディストリビューションなどを開発する団体Debian Projectの公式開発者、ドキュメント制作システム「Re:VIEW」のリード開発者でもある。執筆・監修書籍多数。
目次
はじめに
本書の読み方
第1章 Re:VIEWとInDesign
- 1.1 Re:VIEWとは
- 1.2 InDesignとは
- 1.3 IDGXMLを使ったDTP
- 1.4 InDesign+IDGXMLの制約
- 全自動ではない
- フローティングな紙面には不向き
- そもそもXMLの処理は不得手
- この章のまとめ
第2章 レイアウトテンプレート
- 2.1 紙面レイアウトの用意
- 2.2 紙面レイアウトの解析
- 紙面の基礎
- 章扉
- 2.3 レイアウトテンプレートの作成
- レイアウトテンプレートファイルの用意
- 表示の設定
- スタイルの基本
- スタイルの調査と調整(2ページ目前半)
- スタイルの調査と調整(2ページ目後半)
- スタイルの調査と調整(3ページ目前半)
- スタイルの調査と調整(3ページ目後半)
- スタイルの調査と調整(4ページ目)
- マスターページとテキスト変数
- コラムの作り方の変更――テキストフレームとインラインテキストフレーム
- 見出しのパターン
- 章扉の作り方の変更
- 2.4 JavaScriptプログラムの実行
- hwj-Scriptsの設定
- 要素への名前指定
- スタイル一覧
- クリーニング
- この章のまとめ
第3章 XMLドキュメント処理
- 3.1 XMLおさらい
- 3.2 InDesign固有のXML処理特性
- 3.3 IDGXMLの構造
- 3.4 最初のXMLフィルタプログラムの作成
- 3.5 紙面レイアウトに合わせたXMLフィルタプログラムの作成
- 支援ライブラリの取り込み
- フィルタプログラムの基本構成
- REXML
- 改行文字の挿入
- 基本的な段落スタイルと文字スタイルの設定
- 3.6 紙面テンプレート上での確認
- 3.7 さらなるスタイルの設定
- 親エレメントに基づくパターンの追加
- コードリスト表現
- 図とオブジェクトスタイル
- 3.8 表の処理
- インストラクションによるセルオプションの指定
- 表スタイルの割り当て
- セルスタイルの割り当て
- 3.9 見出しと章扉
- 中見出しと小見出しの処理
- 大見出しの処理
- コラム見出しの処理
- 章扉と改ページ
- 「結合なし」――文中の等幅の処理
- 3.10 要素間の余白と末尾段落
- 紙面要素間の余白
- ドキュメント末尾の段落スタイル
- この章のまとめ
第4章 InDesignで自動DTP
- 4.1 作業方針
- 4.2 InDesignのJavaScript
- ESTK(ExtendScript Toolkit)
- フォルダ構成
- 最初のJavaScriptプログラム
- InDesignの主なクラスとプロパティ、メソッド
- テキストフレームから情報を取得する
- 関数、スコープ、オブジェクトの調査、座標
- 例外処理
- 4.3 ステージ1の開発(手順1)
- 4.4 ステージ2の開発(手順2)
- 開始ノンブルの指定
- インストラクションを該当する特殊文字に置換
- ページオーバーフローの解決
- 大見出しとコラム飾りの配置
- オブジェクトスタイルの適用
- 表セルの結合
- 脚注への変換
- ルビの調整
- 章扉の適用
- ダイアログへのステージ2処理の追加
- 4.5 手動での調整(手順3)
- 長体とソフト改行
- コードリスト内の改行
- 表のセル幅の調整
- 版面下部の調整
- 末尾ページのあと片付け
- 「美しさ」の判断
- 作業の記録
- 4.6 ステージ3の開発(手順4)
- 2行化された見出しの飾りとスタイルの調整
- コラムの囲み罫線の作成
- ダイアログへのステージ3処理の追加
- 4.7 手動での調整(手順5)
- 4.8 PDFの作成
- 4.9 その他の紙面構成物の作成
- 目次の作り方
- 結合PDFの作成
- そして入稿へ
- この章のまとめ
付録A Re:VIEWクイックリファレンス
- A.1 入手
- A.2 Re:VIEW原稿セットのフォルダ構成
- A.3 実行
- A.4 主な記法
- 基本ルール
- 箇条書き
- コメント
- ブロック命令とインライン命令
- 主なブロック命令
- 主なインライン命令