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内容紹介
「確率ロボティクス」は、環境やシステムが持つ「不確実さ」(予測不可能な事象)に確率・統計を駆使して対処するのを特徴とする分野です。人の作業空間により近い位置への進出を期待される次世代のロボットでは、この分野のアルゴリズム設計は有力な枠組みの1つとして注目を集めています。また、ロボットのみでなく、自動車の自動走行などへも応用可能な分野です。
本書は学生、研究者、エンジニアなど、ロボットの実装を行う全ての人に向けて書かれています。「確率ロボティクス」の主要なアルゴリズムを、ベイズ則とその拡張を数学的背景に、擬似コードによる実装例や実験結果を交えて詳細に解説・議論しています。確率の基本的な法則などの基礎的な解説もされており、また、高度な数学の使用は極力避けられているため、技術的背景の異なる人にとっても理解しやすい内容になっています。
確率ロボティクスを学ぶには必須の一冊。
※注意※
本書は2007年発行の『確率ロボティクス』(Sebastian Thrun, Wolfram Burgard, Dieter Fox[著]、上田 隆一[翻訳])の復刻版です。内容は基本的には元版からの変更はありませんが、訳者サイトにまとめられている正誤表(2015.3.20時点)の内容については反映されています。
書誌情報
- 著者: Sebastian Thrun, Wolfram Burgard, Dieter Fox(著), 上田 隆一(訳)
- 発行日: 2015-04-02 (紙書籍版発行日: 2015-04-02)
- 最終更新日: 2015-04-02
- バージョン: 1.0.0
- ページ数: 600ページ(PDF版換算)
- 対応フォーマット: PDF
- 出版社: マイナビ出版
対象読者
著者について
Sebastian Thrun
スタンフォード大学コンピュータ科学・電気工学科 教授。ロボティクス、人工知能などの研究に従事。
Wolfram Burgard
フライブルグ大学コンピュータ科学科 教授。人工知能や移動ロボットなどの研究に従事。
Dieter Fox
ワシントン大学コンピュータ理工学科 准教授。ロボティクス、人工知能、確率的な状態推定などの研究に従事。
上田 隆一
1978年2月16日、富山県小矢部市生まれ。博士(工学)。産業技術大学院大学産業技術研究科情報アーキテクチャ専攻助教/有限会社ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所アドバイザリーフェロー。29歳、東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻助教時代にロボカップ(ロボットサッカーワールドカップ)への参戦を通じて得た研究的知見、プログラミング経験を生かして本書を翻訳する。現在は、自律ロボットの状態推定・行動決定の研究を行う傍ら、シェルプログラミング愛好家団体「USP友の会」の主宰やUNIXシェルやプログラミングに関する執筆等を通じ、より多くの人の手にプログラミングを覚えさせることを目標に活動を行っている。
著書に「シェルスクリプト高速開発手法入門(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)」、「シェルプログラミング実用テクニック(技術評論社、2015年5月出版予定)」。
目次
第I部 基礎
第1章 緒言
- 1.1 ロボティクスにおける不確実さ
- 1.2 確率ロボティクス
- 1.3 他の枠組みとの関係
- 1.4 本書の構成
- 1.5 確率ロボティクスの講義
- 1.6 関連する文献
第2章 再帰的状態推定
- 2.1 はじめに
- 2.2 確率の基本的な概念
- 2.3 ロボットと環境の相互作用
- 2.4 ベイズフィルタ
- 2.5 表現と計算
- 2.6 まとめ
- 2.7 関連する文献
- 2.8 練習問題
第3章 ガウシアンフィルタ
- 3.1 はじめに
- 3.2 カルマンフィルタ
- 3.3 拡張カルマンフィルタ
- 3.4 アンセンテッドカルマンフィルタ
- 3.5 情報フィルタ
- 3.6 まとめ
- 3.7 関連する文献
- 3.8 練習問題
第4章 ノンパラメトリックフィルタ
- 4.1 ヒストグラムフィルタ
- 4.2 静的状態に対するバイナリベイズフィルタ
- 4.3 パーティクルフィルタ
- 4.4 まとめ
- 4.5 関連する文献
- 4.6 練習問題
第5章 ロボットの動作
- 5.1 はじめに
- 5.2 事前準備
- 5.3 速度動作モデル
- 5.4 オドメトリ動作モデル
- 5.5 動作と地図
- 5.6 まとめ
- 5.7 関連する文献
- 5.8 練習問題
第6章 ロボットの知覚
- 6.1 はじめに
- 6.2 地図
- 6.3 レンジファインダのビームモデル
- 6.4 レンジファインダの尤度場
- 6.5 相関ベースの計測モデル
- 6.6 特徴ベースの計測モデル
- 6.7 実用に関する考察
- 6.8 まとめ
- 6.9 関連する文献
- 6.10 練習問題
第II部 ローカライゼーション
第7章 移動ロボットの位置推定:マルコフ位置推定とガウス分布表現
- 7.1 位置推定問題の分類法
- 7.2 マルコフ位置推定
- 7.3 マルコフ位置推定の図解
- 7.4 EKF 位置推定
- 7.5 対応関係の推定
- 7.6 複数仮説追従
- 7.7 UKF 位置推定
- 7.8 実用に関する考察
- 7.9 まとめ
- 7.10 関連する文献
- 7.11 練習問題
第8章 移動ロボットの位置推定:格子表現とモンテカルロ法による表現
- 8.1 はじめに
- 8.2 格子位置推定
- 8.3 モンテカルロ位置推定
- 8.4 動的環境における位置推定
- 8.5 実用に関する考察
- 8.6 まとめ
- 8.7 関連する文献
- 8.8 練習問題
第III部 地図生成
第9章 占有格子地図の生成
- 9.1 はじめに
- 9.2 占有格子地図の生成アルゴリズム
- 9.3 逆計測モデルの学習
- 9.4 最大事後確率(MAP)推定を用いた占有地図の作成
- 9.5 まとめ
- 9.6 関連する文献
- 9.7 練習問題
第10章 姿勢と地図の同時推定
- 10.1 はじめに
- 10.2 拡張カルマンフィルタによるSLAM
- 10.3 対応関係が未知の場合のEKF SLAM
- 10.4 まとめ
- 10.5 関連する文献
- 10.6 練習問題
第11章 GraphSLAM アルゴリズム
- 11.1 はじめに
- 11.2 直観的な説明
- 11.3 GraphSLAM アルゴリズム
- 11.4 GraphSLAM の数学的導出
- 11.5 GraphSLAM におけるデータの対応付け
- 11.6 計算効率の向上
- 11.7 実世界での実装
- 11.8 他の最適化手法
- 11.9 まとめ
- 11.10関連する文献
- 11.11練習問題
第12章 疎拡張情報フィルタ(Sparse Extended Information Filter)
- 12.1 はじめに
- 12.2 直観的な理解
- 12.3 SEIF SLAM アルゴリズム
- 12.4 SEIF の数学的導出
- 12.5 疎化
- 12.6 地図の近似復元のための分割計算
- 12.7 SEIF はどれだけ疎であるべきか?
- 12.8 データの逐次対応付け
- 12.9 分枝限定法によるデータの対応付け
- 12.10実用に関する考察
- 12.11複数ロボットによるSLAM
- 12.11.4例
- 12.12まとめ
- 12.13関連する文献
- 12.14練習問題
第13章 FastSLAM アルゴリズム
- 13.1 基本アルゴリズム
- 13.2 事後推定の因子分解
- 13.3 対応関係既知のFastSLAM
- 13.4 提案分布の改善
- 13.5 対応関係が未知の場合
- 13.6 地図の管理
- 13.7 FastSLAM アルゴリズム
- 13.8 高効率な実装方法
- 13.9 特徴ベースの地図を作成するためのFastSLAM
- 13.10格子ベースFastSLAM
- 13.11まとめ
- 13.12関連する文献
- 13.13練習問題
第IV部 計画と制御
第14章 マルコフ決定過程
- 14.1 動機付け
- 14.2 行動選択における不確かさ
- 14.3 価値反復
- 14.4 ロボット制御への応用
- 14.5 まとめ
- 14.6 関連する文献
- 14.7 練習問題
第15章 部分観測マルコフ決定過程
- 15.1 動機付け
- 15.2 例示
- 15.3 有限POMDP アルゴリズム
- 15.4 POMDP の数学的導出
- 15.5 実用上考慮すべき点
- 15.6 まとめ
- 15.7 関連する文献
- 15.8 練習問題
第16章 POMDP の近似手法
- 16.1 動機付け
- 16.2 QMDP
- 16.3 拡張マルコフ決定過程
- 16.4 モンテカルロPOMDP
- 16.5 まとめ
- 16.6 関連する文献
- 16.7 練習問題
第17章 探査
- 17.1 はじめに
- 17.2 基本探査アルゴリズム
- 17.3 能動的位置推定
- 17.4 占有格子地図を学習するための探査
- 17.5 SLAM のための探査
- 17.6 まとめ
- 17.7 関連する文献
- 17.8 練習問題