※本書は2013年1月に(株)秀和システムより発行された『実践SysML』(ISBN:9784798036861)を、著者原稿を元に電子書籍として再編集・発行したものです。内容や著作者の肩書は、2013年当時のものです。
※本書の一部は@IT Monoistに掲載した記事を元にしています。
内容紹介
本書はSysML1.3に対応した文法解説に留まらず実践方法を記述した書物です。読者が実践するに当たりダイアグラムを書くイメージを手助けするため、コピー機、ロケット、地熱発電所、津波早期検知システム、ダブル発電システム、デジタルカメラなど、多様なシステムサンプルを取り上げており、事例を見ながらダイアグラムの利用方法が学べるようになっています。
大まかな構成は3部+付録に分かれおり、SysMLの概略から文法解説、更にはシステムエンジニアリングプロセスへと展開していきます。
第Ⅰ部の概要編では文法以前の基本知識の解説を行います。システムエンジニアリングやシステムモデリングの話から、SysMLが必要な理由・その歴史やSysMLのダイアグラムの種類などを説明していきます。
第Ⅱ部のダイアグラム編では文法解説を行っています。SysMLはUMLというソフトウェア用のモデリング言語を拡張して定義されていますが、初めにSysMLで拡張された部分について、システムの構造・要求・制約・振る舞いを表すダイアグラムの順に解説を行っています。各章は最初だけ読めばダイアグラムの概略は理解できるようになっているので、段階的にダイアグラムを理解したい場合は各章の初めだけを読み進めて頂けます。ダイアグラムに共通の要素の解説も行っています。UMLと同じダイアグラムは後でまとめて解説していますので、既にUMLをご存知の方はこの部分は読み飛ばして頂いても構いません。
第Ⅲ部のプロセス編では例題システムに対してSysMLによるモデリングを適用する事によって、実際のシステム開発に於いてどのようにモデリングを進めていくかを解説しています。システムエンジニアリングプロセスを大まかに要求分析と方式設計に分け、それぞれのプロセスの様々なアクティビティをSysMLのダイアグラムを使って設計していきます。実際に読者がSysMLを活用する上での参考となる事でしょう。
巻末には付録としてSysMLのすべての要素のリファレンスを付けています。解説している節番号も記していますので、書き方に迷った時のリファレンスとなります。
現在SysMLを業務で用いる為の実践方法を記した書物はかなり限られていますので、SysMLを業務で活用されようとしておられる方には最適の一冊となる事でしょう。
書誌情報
- 著者: オージス総研 鈴木茂, 山本義高
- 発行日: 2014-09-25
- 最終更新日: 2014-09-25
- バージョン: 1.0.0
- ページ数: 309ページ(PDF版換算)
- 対応フォーマット: PDF, EPUB
- 出版社: 達人出版会
対象読者
SysMLを初めて学習する方から既にシステムエンジニアリングにSysMLを適用されている方など、SysMLを活用したいと考えているすべての方におすすめの一冊です。
著者について
オージス総研 鈴木茂
東北大学工学部電気工学科を卒業後、沖電気工業、日本オラクルを経て、1998年より現職。オブジェクト指向やモデリング技術、アーキテクチャ構築技術を活用し、組み込みシステム開発現場の技術支援コンサルティング、プロセス構築支援やR&D支援を手掛ける。情報処理学会やUMTPで運営委員や審査員などの活動にも従事。
主な著書は「その場でつかえるしっかり学べるUML2.0」(秀和システム、共著)。
オージス総研 山本義高
大学ではコンピュータ・サイエンスを専攻、大学院ではリアルタイムシステムの研究に携わる。修了後、2010年オージス総研入社。組み込み開発の現場に対し、UMLモデリング教育、品質診断支援、スキル診断支援、オブジェクト指向による製品開発支援などの活動に従事。
目次
まえがき
- 対象読者
- 本書の構成
- 本書の使い方
- 本書における図について
- 執筆者・協力者の紹介
- 謝辞
第1部 概要編
第1章 システムエンジニアリングとSysML
- 1.1 システムエンジニアリングとは
- 1.2 システムモデリング
- 1.3 SysMLとは
- 1.4 SysMLの歴史
- 1.5 SysMLとUMLの関係
- 1.6 SysMLの効果
- 1.7 SysMLの各種ダイアグラム
第2部 ダイアグラム編
第2章 ダイアグラム共通要素
- 2.1 ダイアグラム共通要素の例
- 2.2 フレーム
- 2.3 コメント
- 2.4 ステレオタイプ
第3章 ブロック定義図
- 3.1 ブロック定義図とは
- 3.2 ブロック定義図の例
- 3.3 ブロック
- 3.4 関連
- 3.5 区画
- 3.6 汎化
- 3.7 値型
- 3.8 UMLとの違い
第4章 内部ブロック図
- 4.1 内部ブロック図とは
- 4.2 内部ブロック図の例
- 4.3 プロパティ
- 4.4 区画
- 4.5 コネクタ
第5章 ポートとフロー
- 5.1 ポートとは
- 5.2 フローとは
- 5.3 ポートとフローの例
- 5.4 ポートの種類
- 5.5 ポート
- 5.6 フロープロパティ
- 5.7 提供特性と要求特性
- 5.8 共役ポート
- 5.9 ネストポート
- 5.10 アイテムフロー
- 5.11 代理ポートと完全ポート
- 5.12 ポートとインターフェイス
第6章 要求図
- 6.1 要求図とは
- 6.2 要求図の例
- 6.3 要求図のモデル要素
- 6.4 要求図の応用
第7章 パラメトリック図
- 7.1 パラメトリック図とは
- 7.2 パラメトリック図の例
- 7.3 制約ブロック
- 7.4 制約プロパティ
- 7.5 拘束コネクタ
- 7.6 目的関数と効果指標
第8章 アクティビティ図
- 8.1 アクティビティ図とは
- 8.2 アクティビティ図の例
- 8.3 UMLと共通のモデル要素
- 8.4 SysML固有のモデル要素
第9章 パッケージ図
- 9.1 パッケージ図とは
- 9.2 パッケージ図の例
- 9.3 UMLと共通のモデル要素
- 9.4 SysML固有のモデル要素
第10章 割り当て
- 10.1 割り当てとは
- 10.2 割り当ての例
- 10.3 割り当ての各種表記
第11章 UMLと共通のダイアグラム
- 11.1 シーケンス図
- 11.2 ステートマシン図
- 11.3 ユースケース図
第3部 プロセス編
第12章 システムモデリングプロセス
- 12.1 SysML によるシステムモデリングプロセス
- 12.2 プロセス編で用いるシステムモデリングプロセスの概要
- 12.3 題材の概要
第13章 要求分析
- 13.1 要求分析の概要
- 13.2 利害関係者の特定
- 13.3 利害関係者要求収集
- 13.4 システム要求分析
- 13.5 ユースケースの特定
- 13.6 ユースケース記述
- 13.7 コンテキスト分析
- 13.8 ドメイン知識記述
- 13.9 システム状態分析
第14章 方式設計
- 14.1 方式設計の概要
- 14.2 振る舞い分析
- 14.3 論理構成分析
- 14.4 論理構成の検証
- 14.5 物理構成分析
- 14.6 トレードオフ分析
- 14.7 可変性分析