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内容紹介
本書は統計モデルの発想、練り上げ、検証、改良にかかわる「統計モデリング」の過程を理解し、扱えるようになることを目的する。第1章では基礎論としてデータの関係を統計モデルの形で記述する方法を解説し、第2〜4章では時系列解析(過去と将来のデータの因果関係)、空間統計学(測定した位置とそれ以外の位置との関係性)、医療統計(診断における統計的検定の使い方)の分野における統計モデリングの具体例を詳述する。
書誌情報
- 著者: 石黒 真木夫, 三分一 史和, 種村 正美, 清水 悟
- 発行日: 2020-03-25 (紙書籍版発行日: 2020-03-25)
- 最終更新日: 2020-03-25
- バージョン: 1.0.0
- ページ数: 234ページ(PDF版換算)
- 対応フォーマット: PDF, EPUB
- 出版社: 近代科学社
対象読者
統計,統計モデル,統計的検定,赤池情報量規準,MCMC法,確率分布,確率変数,アルゴリズム,多変量解析,臨床,jmpに興味がある人
著者について
石黒 真木夫
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序文,第1章担当
1946年 埼玉県生まれ.岩波少年文庫とランサム全集を読んで育つ.大学生になって小さなヨットを手に入れたとき,ランサムを読んで得た知識でヨットを走らせ,「机上の学問」もむだではないと学んだ.
1969年 東京大学教養学部基礎科学科卒業
1974年 東京大学大学院理学系研究科相関理化学専門課程単位取得退学,統計数理研究所第5研究部研究員 統計数理研究所で時系列解析,情報量規準,ベイズ統計学を研究
2010年 統計数理研究所教授として定年退職
現在 統計数理研究所名誉教授,総合研究大学院大学名誉教授
著書に『情報量統計学』(共立出版,1983,共著),『統計科学のフロンティア4 階層ベイズモデルとその周辺』(岩波書店,2004,共著),『法廷のための統計リテラシー』(近代科学社,2014,共著),『統計学をめぐる散歩道』(岩波書店,2020)など.
三分一 史和
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第2章担当
2001年 総合研究大学院大学博士後期課程修了,博士(学術)
2001年 東京都精神医学総合研究所睡眠障害研究部門(日本学術振興会特別研究員)
2002年 理化学研究所脳科学総合研究センター研究員
2005年 千葉大学工学部助手
2007年 千葉大学大学院助教
2009年 統計数理研究所准教授
時空間解析,動的因果性モデリング,ニューロインフォマティクス等の研究に従事.
種村 正美
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第3章担当
1974年 京都大学大学院理学研究科博士課程満期退学
1974年 統計数理研究所第二研究部研究員
1977年 理学博士(京都大学)
1992年 統計数理研究所調査実験解析研究系教授
1992年 総合研究大学院大学数物科学研究科教授
2010年 統計数理研究所定年退職
現在統計数理研究所名誉教授,総合研究大学院大学名誉教授
主な研究分野:空間統計,確率幾何学.著書に『配置の問題?平面・球面・空間における』(みすず書房,1983,共訳),『なわばりの生態学 生態のモデルと空間パターンの統計』(東海大学出版会,1986,共著),『形の科学百科事典』(朝倉書店,2004,共編),『計算統計II マルコフ連鎖モンテカルロ法とその周辺』(岩波書店,2005,共著).
清水 悟
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第4章担当
1980年 東京学芸大学大学院修士課程修了
1980年 東京女子医科大学医学部衛生学教室
1995年 統計数理研究所共同研究員
2011年 東京女子医科大学総合研究所研究部
2018年 東京女子医科大学医学部医学教育学非常勤講師
現在統計数理研究所共同研究員,東京女子医科大学と東京女子大学の非常勤講師を兼務
目次
1 統計モデリング
- 1.1 はじめに
- 1.1.1 統計は科学・技術のことば
- 1.1.2 統計は民主主義のことば
- 1.1.3 この章の執筆方針
- 1.2 データ
- 1.2.1 連続データ
- 1.2.2 離散データ
- 1.2.3 多変量データ(multivariate data)
- 1.2.4 人工データ
- 1.3 統計学の流儀
- 1.3.1 確率論の利用
- 1.3.2 推定誤差(estimation error) への配慮
- 1.4 確率論のことば
- 1.4.1 確率変数・経験分布関数
- 1.4.2 シミュレーション
- 1.4.3 確率密度関数・確率関数
- 1.4.4 確率変数の期待値と大数の法則
- 1.5 統計モデル・統計モデリング
- 1.5.1 条件付き確率関数,目的変数,説明変数
- 1.5.2 単変量パラメトリックモデル(parametric model)
- 1.5.3 2 変量モデル
- 1.5.4 3 変量以上のモデリング
- 1.5.5 最尤法
- 1.5.6 モデルの客観的評価
- 1.6 AIC
- 1.6.1 AIC の計算
- 1.6.2 オーバーフィット/アンダーフィット
- 1.6.3 モデル探索(model search)
- 1.6.4 データ分割
- 1.7 AIC 物語
- 1.7.1 ε–近似確率
- 1.7.2 平均対数尤度
- 1.7.3 対数尤度
- 1.7.4 AIC
- 1.8 仮説検定という方法
- 1.8.1 確率変数の大小認定
- 1.8.2 中心極限定理(central limiting theorem)
- 1.8.3 平均値の検定
- 1.8.4 有意水準
- 1.8.5 t 値とF 値の分布
- 1.9 CATDAP というプログラム
- 1.9.1 CATDAP の仕様
- 1.9.2 CATDAP 使用例
- 1.9.3 CATDAP を利用した簡単モデリング
- 1.9.4 CATDAP 入手法
- 1.10 まとめ:語り残したことども
- 1.10.1 統計的有意と実質科学的有意
- 1.10.2 因果関係
- 1.10.3 角度データ・位置データ
- 1.10.4 ベイズモデリング
- 1.10.5 赤池弘次博士
- 1.10.6 統計学をめぐる散歩道
- 1.10.7 フェイクについて
- 1.10.8 説得・納得・統計モデル
2 時系列モデリング
- 2.1 はじめに
- 2.1.1 時間の概念と未来の値の予測
- 2.1.2 自己回帰モデル
- 2.1.3 時系列データの予測
- 2.1.4 欠損値や異常値のある時系列データの取り扱い
- 2.2 時系列モデリングによる周波数解析
- 2.2.1 自己相関関数
- 2.2.2 AR モデルによるスペクトル推定
- 2.3 時系列間の関係性と因果性
- 2.3.1 相互相関解析
- 2.3.2 外生変数型自己回帰(ARX)モデル
- 2.3.3 多変量自己回帰(VAR)モデル
- 2.4 おわりに
3 空間配置の統計とその周辺
- 3.1 はじめに
- 3.1.1 空間配置データと時系列データ
- 3.1.2 平面上の空間配置の典型例
- 3.2 空間配置の予備的解析
- 3.2.1 区画法データの場合
- 3.2.2 実例— 区画法による集中度指数
- 3.2.3 距離法データの場合
- 3.2.4 配置図データに対する精密な最近接距離法
- 3.2.5 最近接距離r1 の経験分布と経験‘密度’ の精密な計算法106
- 3.2.6 配置図データに対する2 次モーメント量
- 3.2.7 実例— 距離データによる解析
- 3.3 粒子間の誘引・反発相互作用と空間配置
- 3.4 配置図データを相互作用ポテンシャルで測る
- 3.4.1 尤度の希薄気体近似
- 3.4.2 希薄気体近似の適用例
- 3.5 反発の強さを測るためのモデル
- 3.5.1 MCMC 法による対数尤度近似
- 3.5.2 MCMC 法とは?
- 3.5.3 メトロポリス法のアルゴリズム
- 3.5.4 ポテンシャル・モデルの近似尤度とモデル選択
- 3.5.5 実データの解析例
- 3.5.6 2 次モーメント量による統計的診断とMCMC
- 3.5.7 MCMC シミュレーションの収束判定法
- 3.5.8 2 パラメータS-C モデル族当てはめの実例
- 3.6 MCMC で用いる乱数について
- 3.6.1 疑似乱数の生成法
- 3.6.2 疑似乱数の空間統計解析
- 3.7 おわりに
- A 付録:ギブス分布(3.14) と配位分配関数(3.16) の導出
4 医学データの解析
- 4.1 医学における統計学とは
- 4.1.1 臨床データ
- 4.1.2 集団性の量的記述
- 4.1.3 集団の代表値
- 4.1.4 母集団の期待値と標本集団の平均
- 4.1.5 母集団と標本集団の関係
- 4.1.6 統計学の2 潮流
- 4.1.7 確率論と統計学
- 4.2 平均値の比較
- 4.2.1 2 群の平均値の比較
- 4.2.2 平均値の比較,JMP による解析例
- 4.3 統計的検定
- 4.3.1 珍しいとは
- 4.3.2 身長は高いか?体重は重いか?
- 4.3.3 JMP によるZ 統計量の計算
- 4.3.4 背理法とは
- 4.3.5 試験も背理法で考えると
- 4.3.6 過誤と検出力
- 4.3.7 統計的検定と形式論理
- 4.3.8 両側検定と片側検定
- 4.4 分散分析
- 4.4.1 目的変数と説明変数
- 4.4.2 分散分析の考え方
- 4.4.3 F 分布とF 検定
- 4.4.4 統計解析ソフトによる分散分析
- 4.4.5 2 元配置法のモデル
- 4.4.6 JMP による2 元配置法の手順
- 4.4.7 2 元配置法分散分析における自由度
- 4.5 カテゴリカル・データの相関関係
- 4.5.1 カテゴリカル・データ
- 4.5.2 分割表の統計
- 4.5.3 カテゴリカル・データの相関関係
- 4.5.4 χ2 統計量とは
- 4.5.5 χ2 分布と自由度
- 4.6 相関と回帰
- 4.6.1 散布図,相関係数と回帰直線
- 4.6.2 非線形な相関関係
- 4.7 ロジスティック解析
- 4.7.1 ロジスティック解析の例
- 4.7.2 ROC 曲線
- 4.8 検定と情報量規準
- 4.8.1 多変量解析とは
- 4.8.2 モデルの“良さ” の評価
- 4.8.3 変数選択と検定
- 4.9 JMP のデータシートの作り方と外部ファイルの読み込み
- 4.9.1 JMP に直接データを入力する方法
- 4.9.2 JMP でMicrosoft Excel ファイルを読み込む方法