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計算ナノ科学 第一原理計算の基礎と高機能ナノ材料への適用

近代科学社

4,730円 (4,300円+税)

ナノシリーズ第6巻、実験では正確に捉えることが難しいナノスケールの極微の世界の構造や性質、機能を実験よりも先に理論計算で正確に予測していくための高度な第一原理計算に必要不可欠な基礎知識と様々なナノテクノロジーへの応用例を与える。

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内容紹介

理論、実験に次ぐ「第三の科学」と言われてきた計算(機)科学は昨今、理論や実験に先駆けて様々な現象を予測、発見するための不可欠な分野となっている。物質物性科学・工学の世界では、量子論に基づく第一原理計算によって、ナノスケールの構造・性質のきわめて正確な予測が実現している。

本書では、第一原理計算の理論的なベースとなる多体電子論の解説から入り(第1章)、それを実際に計算するためのアルゴリズムの紹介をカーボン材料の応用例を使って行う(第2章)。第3章では、特に環境問題の範疇で実現が叫ばれる炭素固定技術を第一原理計算で探る取り組みを、第4章では、第一原理計算が成功を収めたいくつかの事例を、それぞれ紹介する。

書誌情報

  • 著者: 大野かおる, 中村振一郎, 水関博志, 佐原亮二
  • 発行日: (紙書籍版発行日: 2019-08-01)
  • 最終更新日: 2019-08-01
  • バージョン: 1.0.0
  • ページ数: 272ページ(PDF版換算)
  • 対応フォーマット: PDF
  • 出版社: 近代科学社

対象読者

ナノテク,量子化学,第一原理計算,量子多体問題,多体電子論,シュレーディンガー方程式,固有値問題,密度汎関数理論,自己無撞着法,摂動近似,ハートリー-フォック近似,グリーン関数に興味がある人

著者について

大野かおる

第1章,第2章担当
1984年東北大学大学院理学研究科物理学専攻博士後期課程修了・理学博士
同年日本学術振興会奨励研究員
1986年東北大学教養部(物理学科)助手
1987年Alexisander von Humboldt 研究員(Mainz 大学,J¨ulich KFA)
1990年東北大学金属材料研究所助教授
2000年横浜国立大学工学部知能物理工学科教授
2001年横浜国立大学大学院工学研究院(物理工学分野)教授
現在に至る.
主要著書『コンピュータシミュレーションによる物質科学』(共著,共立出版,1996 年),『ナノシミュレーション技術ハンドブック』(共著,共立出版,2006 年),『密度汎関数法の発展マテリアルデザインへの応用』(共著,丸善,2012 年)『計算と物質(岩波講座「計算科学」第3 巻)』(共著,岩波書店,2012 年),Computational Materials Science: From Ab Initio to Monte Carlo Methods, 2nd Edition(共著,Springer-Verlag,2018 年)

中村振一郎

第3章担当,
1980 年早稲田大学理工学研究科物理化学専攻修了
1984 年ストラスブール大学(仏)フランス国家博士号(These D’Etat) 取得
同年分子科学研究所理論第一分野学術振興会奨励研究員
1986 年三菱化成(現三菱ケミカル)横浜総合研究所入社
2000 年三菱化学科学技術研究センター・計算科学研究所長
2007 年三菱化学フェロー
2009 年東京工業大学連携客員教授
2011 年理化学研究所特別招聘研究員
現在に至る.
主要著書 Solar to Chemical Energy Conversion, Lecture Notes in Energy 32(共編著,Springer, 2016 年),Molecular Modeling Calculations, Organic Photochromic and Thermochromic Compounds 2(Kluwer Academic Publishers, 1999 年),Catalyst Design, Encyclopedia of Computational Chemistry 1(共著,Wiley,1998 年)

水関博志

第4章担当
1990年東北大学工学部材料物性学科卒業
1995年東北大学大学院工学研究科材料物性学専攻博士課程後期3 年の課程修了・博士(工学)
同年東北大学金属材料研究所助手
2005年東北大学金属材料研究所助教授
2007年東北大学金属材料研究所准教授
2013年韓国科学技術研究院Principal Researcher
現在に至る.
主要著書『レアメタルの代替材料とリサイクル』(共著,シーエムシー出版,2008 年)

佐原亮二

第4章担当.
1994 年東北大学工学部金属工学科卒業
2000 年東北大学大学院工学研究科材料物性学専攻博士課程後期3 年の課程修了・博士(工学)
同年東北大学大学院工学研究科助手
2003 年東北大学金属材料研究所助手
2007 年東北大学金属材料研究所助教
2012 年東北大学金属材料研究所准教授
2013 年国立研究開発法人物質・材料研究所主幹研究員
2019 年東北大学大学院工学研究科材料システム工学専攻特任教授(研究)併任
現在に至る.

目次

第1章 基礎理論

  • 1.1 多電子系,ハートリーフォック近似
  • 1.2 密度汎関数理論
  • 1.3 第2 量子化
  • 1.4 (拡張)準粒子理論
  • 1.5 連結クラスター定理,骨格図形,自己無撞着GWΓ 法
  • 1.6 グリーン関数
  • 1.7 ウィックの定理
  • 1.8 配置間相互作用
  • 1.9 多体摂動論

第2章 カーボン系への応用

  • 2.1 強束縛近似
  • 2.2 電子波動関数の表現方法
  • 2.3 自己無撞着計算
  • 2.4 力の計算,第一原理分子動力学法
  • 2.5 時間依存密度汎関数理論
  • 2.6 GW 近似・バーテックス補正

第3章 CO2還元を目指す計算科学

  • 3.1 はじめに
  • 3.2 CO2 分子とは何か,CO2 の活性化を量子化学の言葉で言えば
  • 3.3 CO2 アニオンラジカルを巡る同定危機(Identity Crisis)
  • 3.4 ラティマーフロスト(Latimer-Frost) ダイアグラム
  • 3.5 天然光合成におけるCO2 還元の不思議
  • 3.6 均一系触媒によるCO2 還元
  • 3.7 不均一系触媒(固体触媒)によるCO2 還元
  • 3.8 イオン液体によるCO2 還元
  • 3.9 触媒の回転頻度TOF についての定量的評価方法

第4章 第一原理計算の適用例

  • 4.1 はじめに
  • 4.2 重金属除去剤の機能発現機構
  • 4.3 新水素貯蔵材料の理論設計
  • 4.4 鉄の腐食のメカニズム解明
  • 4.5 チタンの表面酸化メカニズム解明とそのシリコン添加の効果
  • 4.6 多元系炭化物γ-M23C6 の相安定性の温度依存性解析
  • 4.7 今後の展望
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