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内容紹介
◆小規模だが本格的なオペレーティングシステムをエレガントに実装しよう
小規模な組込みOSとしての利用実績も豊富なオペレーティングシステム「Xinu」。本書は,カーネルの機能を最小限に抑えるマイクロカーネルの構造を理解するとともに,その設計から実装までを丁寧に解説していく。ハードウェアをコアにおいて,メモリ管理,プロセス管理,プロセス間通信,デバイスマネージャ,ネットワークプトロコル,ファイルシステム,ユーザーインタフェースに到るまで,オペレーティングシステムとしての基本的な機能をすべて実装していく。IntelのGalileo,ARMのBeagleBone Blackをターゲットとしており,どのように実装されているかを自ら確かめることも可能である。大学学部生,大学院生に向けた教科書としても最良の1冊となっている。
書誌情報
- 著者: Douglas Comer(著), 神林靖(訳)
- 発行日: 2020-02-21 (紙書籍版発行日: 2020-02-21)
- 最終更新日: 2020-02-21
- バージョン: 1.0.0
- ページ数: 632ページ(PDF版換算)
- 対応フォーマット: PDF, EPUB
- 出版社: アスキードワンゴ
対象読者
著者について
Douglas Comer
ダグラス・カマー博士は,パデュー大学計算機科学科の特別名誉教授であり,コンピュータネットワーク,TCP/IPプロトコル,インターネット,そしてオペレーティングシステム設計のエキスパートとして国際的に知られている。多くの論文や専門書の著者であり,それらは頻繁に他の研究者によって参照されている。教育カリキュラムや研究設備の開発者としてもパイオニア的存在である。
16か国語に翻訳されている一連のベストセラーは,世界中の産業界のみならず,計算機科学,計算機工学,経営学などの多くの学部で教科書として採用されている。金字塔ともいうべきInternetworkingwith TCP/IPの3冊シリーズは,コンピュータネットワークとネットワーク教育に革命的な変化をもたらした。彼の教科書と革新的教育設備は,大学学部と大学院のカリキュラムの基礎となっただけでなく,今日でもすぐれた影響を与え続けている。
カマー博士の著作の正確さと洞察力は,コンピュータシステムについての豊富な経験を反映したものである。カマー博士の研究分野は,ハードウェアからソフトウェアまで広い範囲を網羅しており,Xinuオペレーティングシステムの設計,デバイスドライバの実装,そして従来のコンピュータ用だけでなくネットワークプロセッサ用のネットワークプロトコルソフトウェアの実装も手掛けている。カマー博士の研究から生み出されたソフトウェアは,産業界でさまざまな製品の中で広く利用されている。
カマー博士は,大学だけでなく現役のエンジニアを含むさまざまな聴衆に対して,ネットワークプロトコル,オペレーティングシステム,コンピュータアーキテクチャなどの講座を開設して講義してきた。博士の開発した革新的な研究設備によって学生は,大規模で複雑なシステムの実践的なプロトタイプを設計して実装した上で,そのプロトタイプの実行性能の測定もできる。現在でもパデュー大学で教鞭をとるかたわら産業界での教育にも携わっており,多くの国際会議で講演を行っている。教育にとどまらずカマー博士は,コンピュータネットワークとコンピュータシステムのコンサルタントとしても活躍している。
カマー博士は,20年に渡り学術論文誌Software — Practice and Experienceの編集長を務め,シスコシステムズの研究担当副社長も勤めた。ACMフェローかつパデュー教育学術院のフェローであり,USENIX貢献賞(Usenix Lifetime Achievement award)を含む数多くの受賞歴がある。
神林靖
1958年東京都千代田区生まれ。日本工業大学情報工学科准教授。慶應義塾大学経済学部,早稲田大学商学部,法政大学経営学部講師。三菱総合研究所研究員を経て2001 年より現職。計算理論と分散システム,そして政治科学に興味をもつ。慶應義塾大学より政治学の学士号を,ワシントン大学よりコンピュータ科学の修士号を,そしてトレド大学より博士号を取得。主な訳書として『入門コンピュータ科学』(アスキードワンゴ),『コンピュータネットワークとインターネット』(翔泳社)がある。