内容紹介
"インタラクションデザイン"とは、製品やサービスを通じて、人々がどのように互いとつながり合うかをデザインすることです。
対象がデジタルなものかアナログなものか、手に取ってみることができるものかどうかに関わらず、インタラクションデザインのテクニックを適用することで、人間同士のインタラクションがもっと豊かに、もっと深く、もっと優れたものになります。本書では、インタラクションデザインに関する概念だけでなく、具体的なアプローチや事例が多数紹介されています。既にインタラクションデザイナーとして活躍している人、単にインタラクションデザインに関心があるだけの人、(まだ)インタラクションデザインの意味すら知らない人など広範囲な読者に役立つ、新たなデザイン分野の教科書です。
書誌情報
- 著者: Dan Saffer, 吉岡いずみ(訳), ソシオメディア株式会社(監訳)
- ページ数: 256ページ(PDF版換算)
- 対応フォーマット: PDF
- 出版社: マイナビ出版
対象読者
著者について
Dan Saffer
Adaptive Path のインタラクションデザイナー、インタラクションデザイン修士、インタラクションデザイン協会(IxDA: Interaction Design Association)理事。米グラフィックアーツ協会(AIGA:American Institute of Graphic Arts)、米インダストリアルデザイナー協会(IDSA:Industrial Designers Society of America)会員。2005年より、米国有数のデザインファームである Adaptive Path 社のインタラクションデザイナーとして活動。ウェブサイト、インタラクティブTVサービス、モバイル機器、ロボットナビゲーションシステムなど、幅広い製品のインタラクションデザイン牽引役として活躍中。主なクライアントは「Fortune 500(フォーチュン誌による企業番付)」に名が連なるような企業、政府機関、非営利団体、新興企業と多岐にわたっている。
吉岡いずみ
京都市出身。高校時代に米国へ留学、その後同志社大学文学部、米国マサチューセッツ州アーモスト大学人類学部を卒業。フルブライト奨学生としてボストン大学心理学大学院博士課程に在籍するも、米国同時多発テロにより単位取得退学。のべ10年にわたる米国滞在中には、多数の翻訳や企業通訳のアルバイトをこなした。帰国後は、京都大学の国際交流部門勤務を経て、同志社大学職員として勤務するかたわら、フリーランスとしても活動中。家庭環境や学生時代の経験より母国語や外国語に興味を持ったことに始まり、英語を中心とした異文化交流をテーマとした知識、関心が深い。
ソシオメディア株式会社
2001年設立。「ユーザビリティ」や「情報デザイン」の考え方を柱に、ウェブサイトやアプリケーションなどのインタラクティブなメディア、サービス、ツールの質的向上を通して「理解に満ちた社会を実現する」ことを目標に、評価・分析から設計、調査・研究などのコンサルティング活動を展開している。また同時に、ウェブサイトやデザイン全般に関わる情報の紹介や執筆を様々なメディアで行ったり、国内外の知見や事例を紹介するイベントを通して、企業のITデザイン戦略担当者、ウェブサイト担当者など多くの人々にとって必要な知識や情報の提供を行っている。
目次
Introduction イントロダクション
Chapter 1 インタラクションデザインとは何か?
- 1 インタラクション、そしてインタラクションデザインとは何か
- 2 なぜインタラクションの「デザイン」なのか
- 3 インタラクションデザインの短い歴史
- 3-1 1940年代から1980年代
- 3-2 1990年代から現在まで
- マーク・レティグ、インタラクションデザインの歴史と未来について語る
- 4 インタラクションデザインとその近接領域
- 事例研究:Corel PowerTRACE
- 5 なぜインタラクションデザインを実践するのか
Chapter 2 出発点
- 1 複数の課題を伴う課題
- 2 プロジェクトの定義
- 2-1 ビジネスゴール
- 2-2 制約事項
- 2-3 情報収集
- 3 インタラクションデザインの4 つのアプローチ
- 3-1 ユーザー中心デザイン
- 3-2 アクティビティ中心デザイン
- 3-3 システムデザイン
- ヒュー・ダバリー、システムデザインについて語る
- 3-4 才能に基づくデザイン
- 4 まとめ
Chapter 3 インタラクションデザインの基礎
- 1 インタラクションデザインの基本要素
- 1-1 動き
- 1-2 空間
- 1-3 時間
- 1-4 外観
- 1-5 感触
- 1-6 音
- 2 インタラクションデザインの法則
- 2-1 ムーアの法則
- 2-2 フィッツの法則
- 2-3 ヒックの法則
- 2-4 魔法の数字「7」
- 2-5 テスラーの複雑性保存の法則
- ラリー・テスラー、インタラクションデザインの法則について語る
- 2-6 ポカヨケの原則
- 2-7 直接操作と間接操作
- 2-8 フィードバックとフィードフォワード
- 3 優れたインタラクションデザインの特徴
- 3-1 信頼性
- 3-2 妥当性
- 3-3 賢明さ
- 3-4 敏速さ
- 3-5 巧妙さ
- 3-6 遊び
- 3-7 心地よさ
- 4 まとめ
Chapter 4 デザインリサーチとブレインストーミング
- 1 デザインリサーチとは何か
- 1-1 わざわざデザインリサーチをする理由
- ブレンダ・ローレル、デザインリサーチについて語る
- 2 デザインリサーチの実施
- 2-1 してはいけないこと
- 2-2 倫理的な調査
- 2-3 費用と時間
- 2-4 何に注目し、どのようにそれを記録するか
- 3 調査手法
- 3-1 観察
- 3-2 インタビュー
- 3-3 アクティビティ
- 4 調査結果が示唆するデザインの意味
- 5 ブレインストーミング:「そして奇跡が起こり…」
- 6 まとめ
Chapter 5 インタラクションデザインの技術
- 1 仕事のツール
- 2 リサーチモデル
- 3 ペルソナ
- ロバート・ライマン、ペルソナについて語る
- 4 シナリオ
- 5 スケッチとモデル
- 6 絵コンテ
- 7 タスク分析
- 8 タスクフロー
- 9 ユースケース
- 10 ムードボード
- 11 ワイヤーフレーム
- 11-1 ワイヤーフレーム
- 11-2 注記
- 11-3 ワイヤーフレームのメタデータ
- 12 プロトタイプ:ペーパープロトタイプ、デジタルプロトタイプ、物理的プロトタイプ
- 13 テスト
- 14 まとめ
Chapter 6 インターフェースデザインの基礎
- 1 ビジュアルインターフェースデザインの基本要素
- 1-1 レイアウト
- 1-2 タイポグラフィ
- 1-3 色
- 1-4 素材と形
- ルーク・ロブレスキー、視覚的なインタラクションデザインについて語る
- 2 コントロールとウィジェット
- 3 アイコン
- 事例研究:Google Talk つきのGmail
- 4 音
- 5 標準
- 6 「顔」をもたないインターフェース
- 6-1 声
- 6-2 ジェスチャー
- 6-3 存在
- 7 まとめ
Chapter 7 賢明なアプリケーションと巧妙な機器
- 1 マルチタスクのためのデザイン
- 2 一体感のためのデザイン
- 2-1 カスタマイズとパーソナライズ
- 2-2 順応
- 2-3 ハッキング
- ダン・ヒル、ハッキングと順応について語る
- 3 環境に溶け込む機器
- 事例研究:ザ・ソース
- 4 まとめ
Chapter 8 サービスのデザイン
- 1 サービスとは何か
- 1-1 サービスの特徴
- 1-2 サービスデザインの基本要素
- 2 なぜサービスをデザインするのか
- 3 サービスとブランド
- 4 サービスと製品の違い
- シェリー・イヴンソン、サービスデザインについて語る
- 5 サービスデザインの技術
- 5-1 環境についての説明
- 5-2 ステークホルダーについての説明
- 5-3 企業の認知度とブランド
- 5-4 接点
- 5-5 プロセスマップ
- 5-6 サービスの青写真
- 5-7 サービスのプロトタイプ
- 事例研究:電子チェックインシステム
- 6 デジタルサービスの中心で
- 7 まとめ
Chapter 9 インタラクションデザインの未来
- 1 この先10年のインターネット
- 1-1 次世代ウェブのためのツール
- 2 知的なエージェント
- 3 スパイムと、モノのインターネット
- 4 トランスメディアのインタラクション
- 事例研究:Perplex City
- 5 人とロボットのインタラクション
- カール・ディサルボ、ロボットのデザインについて語る
- 6 ウェアラブルコンピューティング
- 7 ユビキタスコンピューティング
- アダム・グリーンフィールド、エブリウェアについて語る
- 8 デジタルツールを作るためのデジタルツール
- 9 まとめ
Epilogue 永遠なるデザイン
- 1 デザインの倫理
- 1-1 原則
- 2 意識的な選択