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内容紹介
●複雑な情報を「理解」して「伝える」ためのノウハウを徹底解説!
本書は、ITエンジニアが業務で得たさまざまな情報を整理して、きちんと「理解する」、そして他者にわかりやすく「伝える」ための方法――思考の整理術について解説します。
エンジニアは、業務報告や各種ドキュメントの作成など、多種多様/複雑な情報をとりまとめて、他者と共有しなければならない場面が数多くあります。その際にわかりやすい文章や図を書くには、情報を「自分自身で考え理解する」「頭の中で整理して再構成する」必要があります。そこで身につけたいのが、思考を整理するテクニックと習慣、つまり「思考の整理術」です。
特にエンジニアが知っておくと確実に「思考の整理(=情報整理)」が楽になる定番パターンがいくつかあります。本書では、長文要約に必須の「カテゴリー&サマリー(分類と要約)」、複雑な情報を理解するための「グループ/パラレル/シリーズ(構造化)」など、思考の整理の基本パターンについて解説します。さらに、それらを実践できるよう、豊富な例をもとに「報告」「企画提案」「教育」系文書の作成や「問題解決」に役立つ、思考の整理方法について丁寧に解説していきます。
業務で得た情報をうまく整理するコツを知りたい、「わかりやすい報告」を作成する方法を知りたいなど、情報整理や報告/文書作成のスキルを身につけたい方にぜひご一読いただきたい一冊です。
コンピュータを動かすためにプログラミング言語が必要なのと同様、人間とのコミュニケーションを迅速確実に進めるために欠かせない「思考の整理(情報整理)の基本」を知って実践しましょう。
書誌情報
- 著者: 開⽶ 瑞浩
- 発行日: 2023-12-19 (紙書籍版発行日: 2023-12-19)
- 最終更新日: 2024-03-21
- バージョン: 1.2.0
- ページ数: 224ページ(PDF版換算)
- 対応フォーマット: PDF, EPUB
- 出版社: インプレス
対象読者
社会⼈1〜5年⽬程度のITエンジニア。業務で得た情報をうまく整理する⽅法がわからない、上司や顧客から「わかりやすい報告」を求められるがうまくいかず負担に感じているなど。
著者について
開⽶ 瑞浩
1986 年東京⼤学理科⼀類に⼊学するも、コミュニケーションに問題を抱えメンタルを崩し中退。プログラマーを始めたもののやはり周囲とうまくコミュニケーションがとれず挫折。しかしそれらの経験をふまえて難解な技術情報の論理構造を整理し図解説明する技術の教育研修カリキュラムを開発し、2003 年から独⽴し企業⼈材教育を⼿がける。著書に『エンジニアのための伝わる書き⽅講座』(技術評論社)、『エンジニアを説明上⼿にする本』(翔泳社)など13冊。テクノロジー、サイエンス分野のライターや教材開発も⼿がける。
目次
はじめに
- 読者対象
- 本書の構成
目次
第1章 整理されていない情報はわかりにくい
- 「部下の報告書がわかりにくい」と悩む上司たち
- 報告書がわかりにくくて読むのがつらい
- 実例 全体像がわからないトラブル報告
- ロジック図解とピクチャー図解
- 1-2 情報整理とは思考を整理すること
- 1-3 ロジック図解は図解しないときも役に立つ
- 図解することによって情報を整理する?
- 「頭の中で情報整理」する思考の動きを追う
- 1-4 「情報整理」とは何なのか
- 思いつくままに書いた文章は乱雑
- 情報整理とモノ整理の基本は共通
- 1-5 報告書の添削を続けたらクオリティが向上する
- 1-6 ベタ書きの文章と無分類の箇条書きには要注意!
- 要約/構造/パターンを考える
- 人に見せて意見を聞き、取り入れる
- 1-7 要約と構造化の徹底を図る
- 分類/並列/順番の構造を探せ
- グループ化、徹底的にしてますか?
- 1-8 頻出する同じパターンを応用しよう
- 職場に特有のパターンを自力で発見しよう
- まとめ
第2章 長文の整理はカテゴリーとサマリーから始めよう
- 2-1 すべての報告書を3行に要約せよ
- 2-2 「要約」を作る鍵がカテゴリー&サマリー
- 「要領よく要点をとらえた報告」はどうすればできる?
- 2-3 カテゴリーには具体性がなく、サマリーにはある
- 2-4 サマリーの役割は未知の情報を確定させること
- 2-5 文章ではカテゴリーが省略されやすい
- まとめ
第3章 複雑なつながりのある話題はグループ/パラレル/シリーズを考えよう
- 3-1 複雑な情報には必ず「構造」がある
- なぜIT 分野の図解利用は不十分?
- とにかく単純な構造に注目しよう
- 3-2 最も単純な構造はグループ/パラレル/シリーズの3種類
- 3-3 なぜ「同種情報のグループ」を見つけなければならないのか
- グループ化できるような共通点が見つからなかったら?
- グループを表す「形」は問題ではない
- 3-4 表形式に見えないパラレル構造
- ロジック図解では表に見えない表形式が多用される
- 手順書だからといって手順を1 つずつ見ていくとは限らない
- 小分けして整理した情報は読者が考えるために便利
- 3-5 順番を明示するシリーズ構造
- 目的を特定できない場合はどうする?
- 順番を図示する方法のいろいろ
- 3-6 ロジック図解の基本はグループ/パラレル/シリーズ(GPS)
- まとめ
第4章 ロジカルシンキングの基本を知っておこう
- 4-1 そもそもロジカルシンキングとは?
- 一般法則がわかる問題とわからない問題
- 論理的思考で使われる情報整理手法
- 「答えはわかるが説明できない」を解決する「問い/結論/行動」の構造
- 因果関係/独立事象/従属事象
- 考察プロセスが複雑になったらロジックツリー化しよう
- ツリー構造でなければならないのか?
- 論理的ではない主張とは?
- 論理的な主張は間違いがあっても修正しやすい
- 4-2 ロジカルシンキングは効率よくハズレを引くための手法である
- 論理的に考えても正しい答えは出ない/実世界では「法則があるけどわからない」場合が多い
- 論理的に考えれば「効率よくハズレを引く」ことができる
- 適度なハズレ率で探索/検証をするのが望ましい
- 「明らかな間違いに早く気がつく」とは?
- 結局のところ、全体を把握できるかどうかがキモである
- 4-3 ロジックツリーとMECEの基本と意義
- 問題解決のための原因分析にロジックツリーを使う
- ロジックツリーの作り方
- MECE =「ダブリなく、かつ、モレなく」をどこまで追求する?
- うまくMECEにならないときこそ、問題理解を深めるチャンス
- まとめ
第5章 「報告」系文書を整理するときのパターン
- 5-1 単純な「報告」にはどんな種類の情報が含まれる?
- 5-2 「結論から話す」ことができない理由とは?
- 仕事の流れを部下に伝えていない
- 心理的安全性がない
- 部下に「情報を整理してまとめる」習慣がない
- 5-3 状態/トリガー/アクシデント/損害のパターン
- 複雑な因果関係を表現する
- 5-4 しくみ/事象/対処のパターン
- 「しくみ」は「手順」ではない
- 「対処」と「対策」を区別する場合もある
- 5-5 IAEJのパターン
- カッチリ固まった手法ではないのでアレンジしよう
- 5-6 目的/方針のパターン
- まとめ
第6章 「企画提案」系文書を整理するときのパターン
- 6-1 「企画提案」系文書の特徴
- 「6W2H」の考え方も参考に
- 目標と成果の違いは?
- 6-2 PREPパターン
- 6-3 FABEパターン
- まとめ
第7章 「教育」系文書を整理するときのパターン
- 7-1 「教育」系文書に多い「条件+指示」パターン
- 指示/理由のパターン
- 7-2 Case-Measureパターン
- Case とMeasure、どちらが重要?
- 7-3 事実/解釈/方針/影響のパターン
- まとめ
第8章 「問題解決」に役立つ情報整理の考え方
- 8-1 問題解決のプロセスを考えよう
- 静的構造と動的構造を区別する
- 人間は「いつもと同じもの」には意識が向かないもの
- 8-2 目的/目標/方針/施策を区別する
- 目標を立てると方針と施策を決められる
- 8-3 戦略と戦術を区別する
- 現場から遠い人間は「戦略決定」の重みを知らないことがある
- その選択が持つメリット/デメリットを念入りに説明しよう
- 8-4 問題/障害/原因を区別する
- まとめ
第9章 図解するためのビジュアルデザインの基礎知識
- 9-1 図解とは絵を描くことではない
- 人の顔を描いてしまう
- アイコンや写真を使ってしまう
- 装飾過多/スペース過多
- 9-2 代表的な図解手法は4種類
- 9-3 アクセントカラーとメインカラーを考える
- 9-4 基本のフォントの選び方
- 「見せる」ゴシック、「読ませる」明朝
- MS ゴシックよりも游ゴシックまたはメイリオ
- 「読ませる」はずの明朝体が実は読みにくい?
- 読みやすいほど理解が進むとは限らない?
- ジャンプ率を踏まえてフォントサイズを決める
- まとめ
第10章 「文章」を仕上げるときの注意事項
- 10-1 段落区切りは字下げか空行か
- 10-2 同語反復は避けるべきか
- 10-3 行頭インデントと行末折り返しの正しい作法
- 10-4 いつでも図解が最適解なわけではない
- 表形式の情報をテキストで伝える方法
- ツリー構造をテキストで伝える方法
- 入り組んだ参照関係をテキストで伝える方法
- 10-5 漢字の使いすぎと1文の長さに注意