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内容紹介
小さなことをする、小さなソフトウェアチームがうまくやっていくために!
アジャイルとは、小さなことをしている小さなプログラミングチームの小さな問題を扱う小さなアイデアである。アジャイルとは、大きなことをしている大きなプログラミングチームの大きな問題を扱う大きなアイデアではない。
大きなことは大きなチームなんかじゃできない。小さなことをする小さなチームがいくつも集まり、コラボレーションしながら大きなことを成し遂げるのだ。このことを、我々はあらためて認識する必要がある。
アジャイル開発とは何か? どうやって生まれたのか? どのように進化したのか?
本書では、これらの質問にアンクル・ボブが丁寧に答えてくれる。また、アジャイル開発が誤解されている状況や、不正利用されている状況を指摘してくれている。彼の視点は適切である。彼はアジャイルの第一人者であり、アジャイル開発の誕生の瞬間に立ち会った人物のひとりだからだ。(以下略)
(「序文」より)
基本に立ち戻る
アジャイルの誕生当時、ケント・ベックは「ビジネスと開発の分断を修復すること」が目標だと述べた。以前と比べれば、ビジネスと開発の分断はかなり修復されている。だが、上記のような新たな分断も生まれている。
生みの親の思いと違ったものになってしまうのは、よくある話なのかもしれない。そこで「仕方ない」と諦めて距離を置くこともできた。だが、著者のボブ・マーチンは、アジャイルの誕生の立役者である(訳者たちは彼の功績を讃え「1号ライダー」と呼んでいる)。その責任を感じているからだろうが、彼は諦めることなく、生みの親たちの思いを再確認する道を選択した。
その道は、本書のサブタイトル「Back to Basics(基本に立ち戻れ)」にあるとおり、アジャイルマニフェストの誕生時期に立ち戻り、基本的なことを積み上げていくものになった。なかでも当事者の視点から描かれた第1章「アジャイル入門」は必読だ。訳者の2人はアジャイルについて「かなり詳しい」部類だと自負しているが、それでも知らないことがたくさんあった。たとえば、XPの非営利組織の設立が見送られたこと、マーチン・ファウラーとボブ・マーチンがコーヒーショップで招待リストを作ったこと、スノーバードの会議室の名前、ウォード・カニンガムがウェブサイトを開設したことなどだ。スノーバードのミーティングは豪華なイベントではなく、みなさんが普段やっている勉強会やオフ会のようなものだったことがわかる。
また、XP(エクストリームプログラミング)をアジャイルの説明のベースとして採用しているため、ビジネスやチームのことだけでなく、技術面についてもきちんと触れられているのも本書の特徴である。現代に必要なデザインや運用の記述が弱い面もあるが、基本的なことが簡潔にまとめられている。(以下略)
(「訳者あとがき」より)
書誌情報
- 著者: Robert C. Martin(著), 角征典, 角谷信太郎(訳)
- 発行日: 2020-10-05 (紙書籍版発行日: 2020-10-05)
- 最終更新日: 2020-10-05
- バージョン: 1.0.0
- ページ数: 192ページ(PDF版換算)
- 対応フォーマット: PDF, EPUB
- 出版社: アスキードワンゴ
対象読者
著者について
Robert C. Martin
Robert C. Martin(アンクル・ボブ)は、1970 年からプログラマーである。cleancoders.comの共同創業者であり、ソフトウェア開発者向けの学習用動画をオンラインで提供している。また、Uncle Bob Consulting LLC. を設立し、世界中の大企業を対象としたソフトウェアコンサルティング、トレーニング、スキル開発を行っている。シカゴに本拠地を置くコンサルティングファーム8th Light, Inc. では、Master Craftsman を務めていた。
さまざまな業界誌に寄稿し、国際的なカンファレンスや展示会でも頻繁に講演している。また、評価の高い教育ビデオシリーズ(cleancoders.com)の作者でもある。以下に挙げる書籍の執筆や編集も手掛けている。
● 『Designing Object Oriented C++ Applications Using the Booch Method』
● 『Pattern Languages of Program Design 3』
● 『More C++ Gems』
● 『Extreme Programming in Practice(邦訳:XP エクストリーム・プログラミング実践記――開発現場からのレポート)』
● 『Agile Software Development(邦訳:アジャイルソフトウェア開発の奥義)』
● 『UML for Java Programmers(邦訳:Java プログラマのためのUML)』
● 『Clean Code(邦訳:Clean Code――アジャイルソフトウェア達人の技)』
● 『The Clean Coder(邦訳:Clean Coder――プロフェッショナルプログラマへの道)』
● 『Clean Architecture(邦訳:Clean Architecture――達人に学ぶソフトウェアの構造と設計)』
ソフトウェア開発の業界のリーダーとして、「C++ Report」の編集長を3 年間務め、Agile Alliance の初代委員長でもあった。
角征典
ワイクル株式会社代表取締役。東京工業大学環境・社会理工学院特任講師。アジャイル開発やリーンスタートアップに関する書籍の翻訳を数多く担当し、それらの手法のコンサルティングに従事。主な訳書に『リーダブルコード』『Running Lean』『Team Geek』(オライリー・ジャパン)、『エクストリームプログラミング』『アジャイルレトロスペクティブズ』(オーム社)、『CleanCoder』『Clean Architecture』(アスキードワンゴ)、共著書に『エンジニアのためのデザイン思考入門』(翔泳社)がある。
角谷信太郎
個人事業主。一般社団法人日本Rubyの会理事。エクストリームプログラミングの理念である「新たな社会構造」のために自分がやれることをやっている。主な共訳・監訳書に『なるほどUnixプロセス』(達人出版会)、『Rubyのしくみ』『アジャイルサムライ』(オーム社)、『アジャイルな見積りと計画づくり』(マイナビ出版)がある。
目次
推薦の言葉
序文
はじめに
謝辞
著者について
第1章 アジャイル入門
- アジャイルの歴史
- スノーバード
- アジャイルの概要
- サークルオブライフ
- 結論
第2章 アジャイルにする理由
- プロフェッショナリズム
- まっとうな期待
- 権利章典
- 結論
第3章 ビジネスプラクティス
- 計画ゲーム
- 小さなリリース
- 受け入れテスト
- チーム全体
- 結論
第4章 チームプラクティス
- メタファー
- 持続可能なペース
- 共同所有
- 継続的インテグレーション
- スタンドアップミーティング
- 結論
第5章 テクニカルプラクティス
- テスト駆動開発
- リファクタリング
- シンプルな設計
- ペアプログラミング
- 結論
第6章 アジャイルになる
- アジャイルの価値基準
- 動物のサーカス
- トランスフォーメーション
- コーチング
- 認定資格
- 大規模アジャイル
- アジャイルのツール
- コーチング(もうひとつの視点)
- 結論(再びボブから)
第7章 クラフトマンシップ
- アジャイルの二日酔い
- 期待の不一致
- 開発者のアジャイル離れ
- ソフトウェアクラフトマンシップ
- イデオロギーとメソドロジー
- ソフトウェアクラフトマンシップにプラクティスはあるか?
- プラクティスではなく価値にフォーカスする
- プラクティスの議論
- クラフトマンシップが個人にもたらすインパクト
- クラフトマンシップが業界にもたらすインパクト
- クラフトマンシップが企業にもたらすインパクト
- クラフトマンシップとアジャイル
- 結論
結論
あとがき
訳者あとがき
- アジャイルが死んだ時代
- 基本に立ち戻る
- 幼年期の終わり